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Muneji Toh Architects

木に包まれる診療所

山口県山口市の新山口駅北地区拠点施設事業。新幹線駅である新山口駅の北口西側に位置し、メインホールを中心に交流と賑わい、新たなビジネスを創出する施設として2021年春に開業。

本計画は新山口駅北地区拠点施設事業の一角となる医療施設を中心としたMEDIFIT LAB棟3階部分に新設される診療所。山口市内の大病院であるJA山口厚生連小郡第一総合病院の駅前診療所として小郡第一整形駅前クリニックを開業する。

クリニックの入口に面して共用ホールが設けられ、共用ホールを介してクリニックへアプローチする構成となる。この共用ホールはカフェスペースとしても用いられる。
クリニック入口面をガラスで覆い共用ホールに対して開放的に、そして木ルーバーを設けることで共用ホールとクリニックを緩やかにつなぎ、クリニックを象徴する外観とした。木に包まれ、木のぬくもりや香りを感じながら森林浴できる診療所を目指した。外装だけでなく内装にも多くの純木を用いている。診療所に入る時に木の香りを感じられる木ルーバーは診療所を象徴する美しい外観をつくり、内部は木に包まれた落ち着いた空間が広がっている。訪れる人々を" 木で優しく包み込む診療所 "とした。

※前設計事務所在籍時作品

新幹線駅 新山口駅より新山口駅北地区拠点施設をみる

クリニックが入るMEDIFIT LAB棟

共用ホールとクリニック外観

木で包まれた外観デザイン

待合スペースにも多くの木材を使用している

受付カウンター

機能的で落ち着いた雰囲気の診察室

診察室と準備コーナー

リハビリ室 受付

リハビリ室

レントゲン室

夜は内部の光を美しく透過させる

夜は木ルーバーが影となり、美しい模様をつくる

完成イメージ

Wood Louver

診療所を象徴する美しい外観をつくる木ルーバーは" 共用ホールである外 "と" 診療所の内 "を緩やかにつなぐ役割を果たす。木ルーバーはW190×D30×H2500のサイズで、約80本もの集合体で美しいファサードを構成している。
木ルーバーは90度に回転しながら、ランダムに配置され、多様なパターンを表現している。正面からみて平らな面となる木ルーバーは正面からの視線を遮り、90度回転した線となる木ルーバーは奥行きをもち、斜めからの視線を遮る。
この2つの木ルーバーにより多角的に視線を遮り、内と外を緩やかにつなぐ奥行きをもった " 木の境界線 " を創り出している。

内と外を緩やかにつなぐ " 木の境界線 "

ガラスの掃除やメンテナンスに配慮し、木ルーバーのピッチをデザインする

留め具がみえない美しいジョイント

角度によって、透過性が変わる

Wood

無垢材と集成材の双方の長所を併せ持つ" 幅はぎ材 "による木ルーバーをつくる。
木ルーバーはW190×D30×H2500のサイズで、無垢材だと空調等の水分含量変化により反りの問題が生じる。片や、集成材だと小口面にフィンガージョイントがみえ、意匠的な美しさにかける。
" 幅はぎ材 "は、地杉1本幅はぎ材・上小無節柾目赤身で作成した。柾目赤身でそろえることで木材のジョイントがわかりずらく、無垢材に見間違うほど美しい。また、細かい部材をジョイントしているため、無垢材に比べると反りにくい。
機能性と美しさを両立した材として、約80本もの木ルーバーを構成し、診療所を象徴する美しい外観をつくる。

地杉1本幅はぎ材 上小無節柾目赤身

無垢材に見間違うほど美しい幅はぎ材

Sign

外観をつくる木ルーバーに対して、サインが浮かんでいるように魅せる。緻密に計算されたジョイントにより浮遊感を演出する。金属のサインと木ルーバーの対比によってサインを際立たせる。

木ルーバーからサインが浮かび上がる

Metal Gate

木に覆われた外観に唯一の入口となる鉄のゲートを設ける。リン酸処理を施した鉄は、異素材の木ルーバーとの対比によって、より際立つ判りやすいエントランスとした。

当初、A工事による他設計事務所の設計で、診療所入口面は壁一面で覆われており、閉鎖的な印象を受けた。その壁を一面ガラスへと変化させ、外(共用ホール)に対して開放的に、そして木ルーバーにより外(共用ホール)と内(クリニック)を緩やかにつなぎ、クリニックを象徴する外観へと変化させた。

施工中 クリニック外観

施工中 クリニック待合

木ルーバー